大工の棟梁は頭が良くなければ務まらない
本日は平成元年に静岡県沼津市で創業した平成建設という会社の話です。秋元社長のインタビューを拝見する機会がありまして、かなりパンチの効いたおもしろい方だなと思い注目していました。25期連続増収てありえないですからね。
インタビュー中で「創業する前、職人を育てる会社を作るんだけど、と知り合いの社長何人かに相談しました。10人が10人、反対でした。僕はそれを聞いて、心のうちで快哉を叫びました。あっ、この人たちは真似しないな。だったら、一人勝ちだ!」とおっしゃっていたのですが、やはり考え方が違うなとw
そもそも平成建設が何で注目され始めているのかというと、東日本大震災の復興や2020年の東京五輪需要などで、現場で作業する職人が足りず、若手はなかなか集まらない状態が建設業界では続いてます。そんな中、高学歴の大学や大学院を卒業した若者の人気を集める建設会社があるというのが注目された最初の理由のようです。
高学歴の大学や大学院を卒業した若者を集める理由を聞かれた社長は「大工の棟梁は頭が良くなければ務まらないから」と何の迷いもなく即答しておりました。
下請管理ではなく、自社の社員で施工まで行う
会社の取り組みとして魅力的なのは工程の最初から最後まですべて自社で行っているという点が大きいようです。
新卒入社した方で「建築に携わる時、実際にモノを作るという実感まで味わいたくて。大工の現場の技術を学ぶために、学び舎として平成建設がいいなと思いました」というコメントがありました。大学院の同級生は大手ゼネコンや有名設計事務所を目指すケースが多いようですが、”実際にモノを作るという実感まで味わいたい”という意見が技術系の学生の中で一定数存在するわけです。
もちろん思いだけで人の心を動かすには限界があると思います。平成建設さんは寮など福利厚生は完備しており、それなりの給与水準を保障しているようです。都会で寮、社宅等の施設を維持するのは企業としてかなりの負担ですが、地方であれば都会と比べると負担減です。”大企業と比較して見劣りする部分をどう補っていくか”というのも重要かと思います。
また新卒入社した方の別の意見として「図面ばっかり描いているとモノから離れていく気がして」というのがあり、世の中が飽きてきてしまっているからなのか学生の間では最近とても多くなっている意見の一つです。業務として”机の上だけの作業以外の何かを取り組ませなければいけない時代”になってきているのかもしれません。
育成方法も伝統を大切にしつつ進化しているようで、師弟関係の中で技を盗んで覚えるような昔のやり方では、現代の若者はついてこないので技術の習得を体系化し、大工だけではなく、設計、施工管理、営業、弟子の育成までできるかつての棟梁を目指すべく多能工化を図っているようです。自分がどう成長していくのか、どうなりたいのかがイメージしやすいシステムを作っている良い例ですね。