若手と老害の戦い

人事の話

既得権益者は皆、自分のテリトリーを守るのに必死

 私の友人は某大手税理士法人の地方支部に勤務しており、このブログを書いている時点では私も税理士事務所に勤務しておりますので同業者であります。

 私の所属先は法人といってもほぼ個人事務所みたいな感じなので、友人の勤務先の状況は非常に気になります。情報量が圧倒的に違いますからね。

 ただ、税理士業界というのは国家資格を持った既得権益者の集まりなので、今後全体として市場が成長することはありません。いわゆる客の取り合いです。これは他の士業にも言えることです。

 税理士の収入源はお客様から頂戴する顧問料です。あとはどれだけ人件費を安く買い叩けるかが重要です。以前は税理士というのは花形職種で憧れの職業でした。皆夢を持っているので日本人が大好きな師匠と弟子の関係が生まれやすく、賃金も安いところが多かったです。

 ところが近年AIによって仕事が奪われる職種ランキングで公認会計士や税務関係事務員が入ってしまい状況が変わりました。

 まず毎年の税理士試験受験者数の減少。ものすごい勢いで減っています。将来性が薄い上に資格取得まで時間が掛かりすぎるという点が原因でしょう。

 税理士業界の労働市場は人材不足で大変です。あと師匠と弟子の関係が色濃く残っている業界で、まず仕事は教えませんし、仕事を回しません。専門性が高いので細かく教えている余裕が無いというのが本音です。教えられないので仕事を回すこともできません。

 というのが、年寄世代の言い訳でしょう。自分たちが厳しい状況下で仕事をしてきたのになぜそれを教えなければいけないのかと考える人も多いでしょう。

 税理士事務所の年配の方には大番頭,小番頭と呼ばれる無資格の職員も大勢おります。全体的にけっこうな数がいると予想されますが、今一番危機感、恐怖心を抱いている方々でしょう。ITがこれだけ進化して、AIに取って代わられる可能性のある税務関係事務員です。私の感覚ですが、税理士事務所の40代後半から上の世代の方々はパソコン操作についていけておりません。

 彼らもそれは十分承知です。彼らが何を考えるかというとパソコン作業の単純作業は若手に行わせ、お客様との打ち合わせ等に力を注いでいるんですね。対人コミュニケーションがAIが入り込む一番最後の部分でしょうし、営業なども無くなりませんからね。

 若手からしたら将来無くなる可能性が高い仕事しか回ってこないので面白くないので辞めてしまいます。人が来ないので、年配職員もやはり自分がいないと事務所が回らないとアピールし始めます。

 しかし、経営者はそれは将来的なリスクだと捉え始めており、大手税理士法人では、ようやくそのような状況にメスを入れ始めたようで、トップから直々に、若手に仕事を回さない、指導しない年配従業員は辞めてもらって結構ですと通知を出しているそうです。

 

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