採用面接は応募者の家族状況まで把握しないとダメ?
今回のお題の件についてですが、応募者の家族状況に関して私は採用面接の段階で、なるべく把握すべきだと思っています。特に中小企業は時間もお金も余裕が無いですからね。ただし、厚生労働省より企業の採用活動におけるガイドラインが公表されておりまして、”本人に責任のない事項の把握”は控えなければいけません。他にも”本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握”は控えるように言われております。
<a.本人に責任のない事項の把握>
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- 本籍・出生地に関すること (注:「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します)
- 家族に関すること(職業、続柄、健康、地位、学歴、収入、資産など)(注:家族の仕事の有無・職種・勤務先などや家族構成はこれに該当します)
- 住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
- 生活環境・家庭環境などに関すること
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<b.本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握>
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- 宗教に関すること
- 支持政党に関すること
- 人生観、生活信条に関すること
- 尊敬する人物に関すること
- 思想に関すること
- 労働組合・学生運動など社会運動に関すること
- 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
この辺を踏まえ、過去に私が人事として関与した案件を紹介させて頂きます。
先に言わせて頂くとトラブルを防ぐためには就業規則の作成、労働条件の明示等の雇用契約書を充実させるしかありません。
事務系の採用活動を行っており、当時からあまり本人に関係ない事項は聞かないようにしておりました。20代の方でこちらが求めるスキルも満たしており、受け答えも明るくしっかりした方だったので即採用という感じでした。その後無事入社して頂きましたが、1か月も経過しない内に以下のような事が起こりました。
ほぼ毎日通勤電車の混雑遅延を理由に始業時刻に遅れる
祖母がいなくなり、探していたため始業時刻に遅れる
ちなみに家族の方は認知症等ではありません。意識ははっきりしていると報告されました。注意してもですね、自分のせいではなく、鉄道会社または遅延させた方に責任があると主張されたんですね。鉄道各社の遅延証明書も提出したことはありませんでした。家族の件に関しても、他に面倒を観れる家族がおらず、性格的に我が強く大変なんだと。
会社としてはそこまで考慮して採用していませんし、労働者側は事前に言えば不採用になってしまうので伏せていたか若しくは事前に申告する必要も無く、当たり前に対応してもらえると思っていたと思います。
本人としては面接のときに確認してませんよね?という主張をされたので、社長含め本人と何度も話し合いを重ねました。結局、溝は埋まらなかったと思いますが、その状態がしばらく続きました。ある日急に退職届を提出され、その方は会社を去りました。
中小企業は人一人雇うのに重い負担を強いられます。”事前に質問することをリスト化”しなければいけません。面接する側も経験値だと思っているので、本人に責任のない事項の把握をする時は、”なぜその質問をするのか正直に本人に伝える”ことです。さすがに本籍・出生地に関することなどは差別的なイメージが強すぎるのでNGですが、経営のために必要なことは確認すべきです。