労働者災害の事例

労務の話

労災の事例

本日の記事は労働基準広報 2004号に掲載してある
広島北労働基準監督署長 堀江昭爾氏の記事を抜粋しました。

【感電】

ホイスト式天井クレーンのランウェイ上で工場内壁に電灯盤用の電線管を
取付ける工事を行っていた作業員が、当該クレーンのトロリ線(183Vの低圧
電路)に接触・感電し、電撃傷により死亡する災害がありました。

当該電路に絶縁用防具を装着しなかったとして労働安全衛生法違反の疑い
で社長を取り調べていた時のことです。

事故の惨状を目の当たりにした社長が、突然「俺が悪いんだ」と何度も叫
びながら泣き崩れたことがありました。社長は被災者のことをわが子のよ
うに可愛がっていたそうです。

【酸欠】

長期間密閉され、鉄の酸化により酸素欠乏状態にあった船倉内に、点検の
ために入った作業員が窒息する災害がありました。
船のマンホールの下で意識不明の状態で倒れていた被災者を同僚が発見し、
傍にあったフック付の竿竹を被災者の作業着の襟に掛けて引き上げました。
幸い被災者は救助されるのが早かったため一命を取り留めました。

このような酸素欠乏災害は、救助作業に当たった者も被災するケースが非
常に多いのですが、その同僚は類似の災害をニュースで見たことがあり、
危険性を認識していたことから救助の際に入倉しなかったそうです。

この災害の主な原因は、酸素濃度の測定・換気・特別教育が行われて
いなかったことにありました。

【危険予知】

労働者死傷病報告の災害発生状況を読んでいると、もう少し注意した
り、安全対策を取っていれば事故を防ぐことができたのではなかろうか、
と思うことがあります。
人間は危険を本能で感じ取ることが困難であると言われています。
前述の電気や酸素欠乏空気は色や臭いがないため、危険を察知できずに
被災するケースがほとんどです。

視覚・聴覚・臭覚で感知できない一酸化炭素・放射線等の因子は、知識
がなければ危険を察知することができません。
このため教育や訓練により危険感受性を磨き、危険予知能力を高める
ことが大切です。

労務の話
スポンサーリンク
勝手に人事労務分析.COM
タイトルとURLをコピーしました