判例「業務中に会社のPCを使用して業務と関係ないSNS投稿をする」

労務の話

業務外の私的なSNS投稿

最近、企業の炎上騒動が目立ち始めております。

業務外・私的な内容を就業時間中に職場内で会社提供の機器を使用して
SNSに投稿した場合はどう対応したらいいのでしょうか?

この場合は,就業時間中に職務それ自体に従事していないため、原則とし
て、職務専念義務違反の場合ということができます。
この点で参考になるのが私用メールについての裁判例です。

グレイワールドワイド事件(東京地裁平成15年9月22日判決)

就業規則等に特段の定めがない限り、職務遂行の支障とならず、使用者に
過度の経済的負担をかけないなど社会通念上相当と認められる限度で、
使用者のパソコン等を利用して私用メールを送受信しても職務専念義務に
違反するものではないとし、本件では就業時間中の私用メールが明確に
禁止されておらず, 1日当たり2通程度の私用メールであることから職務
専念義務違反とはしていません。

K工業技術専門学校事件(福岡高裁平成17年9月14日判決)

学校のものであることを推知し得るアドレスを用いてSMの相手を求める旨
の内容のメールを送信しており、第三者に閲覧可能な状態に置かれただけ
で学校の名誉等を傷つけ得るものであること、長時間にわたり、膨大な量
の私用メールを勤務時間中に送受信していたこと(約5年間に受信記録
1,650件余、約4年半に送信記録1,330件余。約半数程度が勤務時間内)、
勤務時間中、職務に用いるために貸与されたPCを用いた私用メールのやり
取りを長時間にわたり、かつ膨大な回数にわたって続けることが許容され
るはずがなく、学校がPCの使用規程を設けていたか否かによって背信性
の程度を異にしない、 と判断して懲戒解雇を有効としています。

これらの裁判例を踏まえると、就業時間中の私用でのSNSの投稿の頻度が
膨大になると職務専念義務違反に該当する可能性があるといえます。

さらに、SNSへの投稿により炎上した場合には、企業秩序遵守義務違反に
も該当する可能性もありますので、 2つの懲戒事由に該当し得ることにな
ります。

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